国際輸送で必要な書類とは?初心者でも分かりやすい輸送の流れや書き方の解説!
国際輸送を使って貿易するのに海上輸送がよく利用されていますが、様々な書類を用意する必要があり、初めて国際輸送を使用する人は書類を用意するのも大変ですよね。
どんな書類が必要なのか分っていないと、書類漏れなどの不備により輸送してもらえないといったトラブルの原因になり、仕事を円滑に進めることができないおそれもあります。
今回は国際輸送における必要書類だけでなく、初心者の人が分りづらい輸送の流れや、輸送において特に重要な書類でもある、「インボイス」と「パッキングリスト」で失敗しないための書き方を解説します。
目次
国際輸送での必要書類とは?書類と貨物の流れを学ぼう!
国際輸送に必要な書類を把握するためにも、書類のやり取りや貨物がどうやって届くのかをしっかりと理解しておくことが大切です。
国際輸送を行う際に必要な書類
国際輸送を行うにあたって、通関業者に輸出通関の依頼をする会社や個人事業主は多いです。通関業者に依頼する場合に必要な書類は、
・インボイス(仕入書、送り状)
・パッキングリスト(梱包証明書)
・船積依頼書
・委任状
などで、特にインボイスとパッキングリストは、この後の貿易に関わる書類の作成においても重要なので記入漏れや虚偽申告がないようにしましょう。
国内で行われる貨物の流れ
①フォワーダーに依頼する
貨物が用意できたらフォワーダーにBooking依頼をし、この時に「コンテナの種類、コンテナの本数、貨物の引き渡し日、積み込みを行う港、コンテナを下ろす港、CutOff、ETD、ETA、フリータイム」など、コンテナ船に貨物を載せるための必要事項をフォワーダーに伝えます。
②伝えた情報を基にフォワーダーが予約と手配をする
依頼時にフォワーダーに伝えた情報から、フォワーダーが「コンテナ船の予約、コンテナを運ぶトラックの手配、通関手配」をし、それぞれに必要な書類の確認をします。
③貨物の積み込み
貨物の引き取り日にトラックが来てコンテナに貨物を積み込み、海上でコンテナが揺れる際に貨物が動かないように、しっかりとラッシングを施し港まで運びます。
④AFR、VGM、輸出申告を済ませる
港に到着したらコンテナが船に載せる前に、
・AFR(日本向け:輸出の事前申告)
・VGM(コンテナの総重量の申告義務)
・通関の輸出申告
等を済ませ、申告に問題等がなければコンテナを船に載せます。
⑤B/Lの発行
コンテナが船に積み込まれたらD/Oを引き取るためのB/Lが発行されます。
⑥出港
貨物が送り先に近付いた際の流れ
①A/N(Arrival Notice)が発行される
コンテナ船が入港する数日前に、輸入する側のフォワーダーから「A/N(Arrival Notice)」が発行されるので、輸入者はA/N(港の諸費用やD/O費用など)を支払わなければなりません。
②A/Nの支払いとB/Lの提出
A/Nの支払いとB/Lの提出ができたら、輸入者は貨物引渡し書類(D/O)を入手します。
③輸入関税
・インボイス
・パッキングリスト
・原産地証明
などの書類を使い、システム入力を行って通関士によって輸入申告がされ、申告に不備や問題がなければ税関から輸入許可が出ます。
④コンテナ貨物の引き取り貨物を届ける
D/Oをヤードに提出するとコンテナ貨物を引き取れる許可が出るので、トレーラーで貨物を届け先まで運びます。
⑤貨物を届け先で積み下ろして完了
国際輸送の書類で特に失敗できないインボイスとパッキングリストの書き方
国際輸送の書類の中でも「インボイス」と「パッキングリスト」は、その他の書類の作成や輸入関税時に必要なため、記入ミスなどの失敗が絶対ないように気をつけなければなりません。
インボイス(仕入書、送り状)
INVOICE(インボイス)は国際海上輸送での貿易で、インボイスを基にどんな貨物が輸出入しているかの確認や、輸入国で支払う税金の計算がされます。関税の法律上により輸出入の申告においてほぼ例外なく必要となる書類です。
インボイスの書式には特定のフォームがないため、自分でいちから作ることも可能ですが、インターネットなどで書式をダウンロードできるサイトもあるためおすすめです。
インボイスの書き方は、
・輸出者の社名
・住所
・電話番号
・FAX番号
・インボイス番号(番号の決め方は自由なため日付を利用する人が多い)
・到着する港の名前と国名
・利用する船の便名
・出港する日にち
・貿易取引条件(CIF TOKYOやFOB SHANGHAIといった表現でOK)
・シッピングマーク(会社名、送り先、箱の番号、生産国がオーソドックス)
・輸出入する貨物の品名、個数、単価、合計金額(品名に使用目的などを書いておくとより良い)
・支払い条件(電子送金決済を意味するT/Tなど)
・輸出者の名前と担当者のサイン
など、輸送情報を主に記載します。日本から海外へ送るインボイスは基本的に英語表記です。作成したインボイスは通関書類としても使用されるため、インボイスを見れば貿易の内容が分るように作成することが重要です。
記入には「細かく、正しく、分りやすく」を心がけましょう。
パッキングリスト(梱包証明書)
Packing List(パッキングリスト)は日本語で「梱包証明書」のことです。どんなものがどのくらい輸出入され、どのような梱包をされているのか、貨物にどのようなマークがつけられているのかなどの確認の際に必要な書類になります。
パッキングリストの書き方ですが、インボイスと内容はほぼ変わりません。そのため同じ書式を使用する人が多いです。インボイスと違うところは「貨物の明細」で、貨物の大きさや重さ、梱包前の重量と梱包後の重量などを記載します。
絶対にやってはいけない注意点
税金を安く済ませたいからといって、商品の価格をわざと低く記載したり、運賃を節約するためにボリュームを小さめに記載したりするなどの、虚偽申告は絶対しないようにしましょう。
運よくフォワーダーや通関業者を上手くやり過ごせても、税関の事後調査で発覚した際には、莫大な追徴課税を支払うことになったり、船に積載する段階で判明した場合は輸出や貨物の引き取り、船のキャンセルで余計なお金や時間がかかるおそれがあります。
国際輸送で輸入する際は書類以外にも関税の注意が必要!
国際輸送で輸入する際は書類だけでなく、関税にも注意しなければなりません。
関税とはいったい何か?
「関税」は条約や国の法律に則り、税金として支払うお金のことを言い、関税の申告や支払い手続きは輸入において重要な部分となります。
また関税とは、「外国からの輸入品に対して国が課す税金」と定義されており、「個人が納める消費税、所得税、企業が納める法人税」と同様に、国に支払う税金の一種です。
関税の目的は「輸入国側の産業を保護する」ためで、安い外国製品が大量に輸入され市場に出回り、国内製品が売れなくなるのを防ぎます。
WCO(世界税関機構)とHS条約
WCO(世界税関機構)は国際機関で、税関や関税に関する手続きが統一化されています。世界の大半の国が加盟している「HS条約」では、「HSコード」と呼ばれる6桁の番号を用いて、輸出入対象の製品を種類ごとに分類して製品ごとに完成率を決めらます。関税率は輸入国ごとに数値が異なります。
ちなみに日本はHSコードの6桁にさらに3桁の数字を加え、計9桁の数字を用いた輸出入品の統計表です。
関税は輸入通関が重要
関税の申告には輸出入の通関時に税関に行いますが、最も重要なのが輸入国の通関申告で、申告内容によっては減免されるケースもあれば、逆に過小申告など誤りがあれば追加で徴収されることもあります。
輸入者にとっては輸入の負担額にも直結するため、関税については注意が必要です。
https://nippon47.co.jp/column/%e3%80%90%e9%96%a2%e7%a8%8e%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f%e3%80%91%e8%bc%b8%e5%85%a5%e3%83%93%e3%82%b8%e3%83%8d%e3%82%b9%e3%82%92%e5%a7%8b%e3%82%81%e3%82%8b%e5%89%8d%e3%81%ab%e7%9f%a5%e3%81%a3%e3%81%a6/
国際輸送の必要書類についてのまとめ
国際輸送は必要書類においての記入ミス・虚偽申告は、絶対にあってはならないし、してもいけません。発覚した場合には莫大な金額を追加で徴収されるおそれがあります。
また「インボイス」や「パッキングリスト」においては、輸入国で支払う税金の計算の際にも必要になるため、「細かく、正しく、分りやすく」記入することが大切です。