輸入品の価格設定ってどうする?輸入にかかる費用と具体的な方法・マージンについて解説
海外から輸入して国内で販売するビジネスを始める人が増えています。越境ECサービスを活用すれば、初心者でも簡単にできることが理由のひとつです。でも、輸入品の価格ってどうやって設定していますか?
海外仕入れには商品の代金以外にもさまざまな費用がかかるので、設定の仕方を間違ってしまうと大きな損失になってしまうこともあります。そこで今回は、輸入品における価格の設定方法をご紹介したいと思います。また、中間業者のマージンと粗利率の関係や、販売ルートの開拓法についても、ぜひご参考くださいね。
目次
輸入品の価格設定で考慮するべき費用ってなにがあるの?
海外から商品を仕入れるさい、さまざまな費用がかかります。輸入品の価格を設定するには、次のような費用を考慮する必要がありますよ。
商品代金・仕入れ代金
越境ECサイトや海外通販で購入した商品そのものの代金のこと。のちのちトラブルにならないように、購入金額の証明となるレシートは大切に保管しておきましょう。
日本までの輸送費
日本までの送料のこと。郵便系の配送サービスを利用するとコストを抑えることができます。民間の国際配送業サービスは割高ですが、配送オプションが充実しています。日本への配送がエリア外の場合、現地の転送業者に依頼することもできます。その場合は配送料が輸送費になります。
関税
輸入ビジネスをおこなうさい、輸入品にたいして商売目的の関税がかけられます。個人使用の場合と比べると、関税の対象となる金額(課税価格)が異なります。
【商売目的:課税価格 = 商品代金 + 日本までの送料 + 保険料】
【個人使用:課税価格 = 商品代金 × 0.6】
商売目的でドアツードア配送するなら、課税価格を20万円以下に抑えることが必要です。もし、20万円を超える場合は、自分で通関をおこなうか、通関業者に依頼することになります。
消費税
海外から購入する場合にも消費税が発生します。
【消費税= (課税価格 + 関税) × 消費税率】
通関手数料
民間の配送業者は、日本に到着した貨物の簡易通関をおこないます。そのさい関税や消費税を立て替えて支払いを代行してもらうことができます。この手数料は、商品受け取りのさいに業者に支払うことになります。
【参考:HUNADE「輸入費用を個人・商売に分けて設定解説!」】
輸入品の価格設定するさいに知っておきたい具体的な方法
では、どのような方法で輸入品の価格を設定するとよいのでしょうか。ここでは、一般的に用いられている2つの方法をみてみましょう。
コストプラス方式
コストプラス方式とは、商品の仕入れ原価や送料、その他輸入にかかったコストに、利益をプラスして価格を設定する方法です。この利益には、自分が得られる利益だけでなく、卸問屋や小売り業者の利益も考慮する必要があります。
一般的には、売れば確実に利益が出る商材や、売り手の交渉力が強い市場、公共のサービスなどに用いられています。加算方式、費用志向型ともいわれます。
コストブレイクダウン方式
いっぽう、コストブレイクダウン方式とは、お客さまに満足してもらえる価格をまず設定する方法です。そのあとで必要なコストを算出していくので、逆算方式や需要志向型ともいわれます。
コストプラス方式と比べると、市場に受け入れやすい価格を設定できることがメリットです。しかし、思ったような利益が得られないことも少なくありません。
価格設定で注意するべきこととは?
コストプラス方式とコストブレイクダウン方式には、それぞれメリットやデメリットがあります。どちらの方式を採用するにも、価格を設定するうえで注意するべきポイントを知っておきましょう。
・「販売価格 - 原価 = 利益」:原価に含まれるコストには、仕入れ代金のほかに、梱包材などの材料費、送料、人件費、加工費、光熱費などもあります。また、ECサイトで展開する場合には、手数料なども含みます。
・原価率3割が目安:業界やサービス内容によっても異なりますが、アパレル業界の原価率は3割程度といわれています。たとえば、原価1500円の服なら、販売価格が1500÷0.3で5000円となります。
・お客さま目線:セオリー通りに販売価格を設定しても売れないのは、市場のニーズと競合他社のリサーチ不足が原因です。まずはライバルがどのような価格設定をしているのか、どんなお客さまに購入されているのかを知ることが重要です。
輸入品の価格と中間業者によるマージンの関係ってどうなの?
輸入した商品をダイレクトに消費者に販売するのではなく、中間の業者である卸や問屋、小売店に販売する場合には、より多くのマージンがかかります。輸入品の価格設定とマージンの関係をみてみましょう。
実店舗販売における輸入業者・卸・小売店のマージン
実店舗で輸入品を販売する場合、どこに販売するかによってマージンが異なります。一般的なマージンの目安はつぎの通りです。それぞれの利益を見込んで販売価格を設定しなくてはいけません。定価1000円の商品が売れたさいの利益も参考にしてくださいね。
・小売店:35%~45%(350円~450円の利益)
・卸問屋:10%~20%(100円~200円の利益)
・輸入業者:10%程度(100円程度の利益)
・メーカー:10%程度(100円程度の利益)
同時にネット販売をするさいの価格設定の注意点
ネット販売のみおこなうのであれば、中間業者のマージンを考慮する必要がないので、競合他社より安い価格を設定することができるかもしれません。しかし、実店舗で販売するだけでなく、ECサイトを活用してネット販売もしたいなら、価格設定はより慎重におこないます。
小売店の利益を含めた実店舗の商品価格よりも、安い価格でネット販売をしてしまうと、実店舗の商品が売れなくなってしまうからです。実店舗で販売される価格の5%〜10%の割引率でネット販売価格を設定しましょう。
【参考:HUNADE「輸入品の価格を設定する上で重要なこと」】
https://nippon47.co.jp/column/%e8%bc%b8%e5%85%a5%e3%83%93%e3%82%b8%e3%83%8d%e3%82%b9%e3%81%af%e9%9b%a3%e3%81%97%e3%81%84%e3%81%9d%e3%81%ae%e7%90%86%e7%94%b1%e3%81%a8%e6%8a%bc%e3%81%95%e3%81%88%e3%81%a6%e3%81%8a%e3%81%8f%e3%81%b9/
ビジネスチャンスが広がる!?輸入品の販売ルートの見つけ方
じっさいに海外から輸入した商品を販売する方法をみてみましょう。どう展開していくかでビジネスチャンスがさらに広がりますよ。
バイヤーが集まる見本市って?
日本では定期的に見本市が開催されています。見本市は、海外から輸入した商品のサンプルを出展することで、商品を知ってもらう、あるいは買ってもらうのに絶好のチャンスです。そのジャンルに興味があるバイヤーが多数集まるので、1件1件飛び込み営業や電話営業をするよりも効率的です。
また、じっさいに、商品を輸入して販売するまえに、お客さまの反応をみることもできます。需要がないかどうかマーケティングにも有効なのです。
見本市は誰でも出展できるの?
こういった見本市には誰でも出展することができます。出展のさいの審査がほとんどないので、小規模の事業所や個人でも問題ありません。出展にかかる費用は規模によってさまざまですが、直接会社代表やプロのバイヤーにアピールできるので、費用対効果は高いですよ。
出展するさいの注意点
見本市に出展するにあたり、カタログの作成が必要です。輸入品のカタログは現地語で記載されていることが多いので、日本語に訳したものを作成します。商談のさいに名刺交換をし、カタログを渡すようにしましょう。
また、商談内容を記録した用紙があるとよいです。どんなことに興味をもたれたかメモし、名刺をセットで保管しておきましょう。お客さまが簡単に回答できるようなアンケートも、のちのちのマーケティングに役立ちます。
https://nippon47.co.jp/column/%e8%bc%b8%e5%85%a5%e3%83%93%e3%82%b8%e3%83%8d%e3%82%b9%e3%81%8c%e6%88%90%e5%8a%9f%e3%81%99%e3%82%8b%e3%82%b3%e3%83%84%e3%81%a3%e3%81%a6%ef%bc%9f%e3%83%a1%e3%83%aa%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%84%e3%83%aa/
輸入品の価格設定の方法についてのまとめ
輸入品の価格設定は、国内仕入れの場合とは大きく異なります。日本までの送料や関税、消費税などが原価に含まれるからです。一般的には、コストプラス方式やコストブレイクダウン方式で価格の設定をしますが、どこに販売するのか明確にする必要があります。実店舗で販売する場合は、小売り・卸業者へのマージンを考慮しなくてはいけません。
輸入品の販売ルートを開拓するには、国内の見本市に出展すると効率的です。もともとそのジャンルに興味がある会社の代表やバイヤーに売り込むチャンスです。