不良在庫とは?在庫管理の基本と利益を最大化させるコツを徹底解説
古着の販売ビジネスを成功させるために重要なのが、在庫管理です。在庫にはいくつか種類がありますが、中でも不良在庫が増えすぎると、企業の財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。
とはいえ、在庫を減らしすぎて欠品を招き、売り上げアップのチャンスを逃してしまうのも避けたいでしょう。
今回は、古着ビジネスを運営している方に向けて、不良在庫が発生する原因や処分方法、不良在庫の予防策について解説します。
在庫管理の基本知識を身に付け、古着ビジネスを長期的に成長させましょう。
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なぜダメ?過剰在庫との違いと不良在庫を多く抱えるデメリット
在庫にはいくつか種類がありますが、増えすぎないよう注意したいのが「不良在庫」です。古着の販売ビジネスを成功させるためには「不良在庫」を正しく理解し、在庫管理の基本を押さえることが重要になります。ここでは「不良在庫」の基本情報や「過剰在庫」との違い、不良在庫がもたらすリスクについて解説します。
不良在庫の発生原因と過剰在庫との違い
財務状況を良好に保つには、「不良在庫」と「過剰在庫」の違いを把握することが大切です。
・不良在庫…長期間売れ残っており、将来的に販売できる見込みがない在庫。
・過剰在庫…一時的に売れ残っており、将来的には売れる可能性がある在庫。
「販売しても売れる見込みがない」ものが不良在庫、「まだ売れる見込みがある」ものが過剰在庫ととらえると覚えやすいでしょう。
不良在庫が発生する要因としては、発注ミスによる仕入れすぎやトレンドの変化による型落ち、不良品や欠陥品などがあります。
不良在庫が引き起こすデメリットを解説
不良在庫を多く抱えると、以下のデメリットがあります。
・保管スペースの圧迫
保管スペースを不良在庫が占領してしまい、新しい商品を入荷しづらくなる。売れる見込みのある商品を多く仕入れられず、売り上げアップの機会を損失するおそれがある。
・管理コストの増大
在庫を管理するには、光熱費や人件費といったコストがかかる。不良在庫は利益にはならないが管理コストはかかるため、維持するだけで経営資源を消費してしまう。
・商品価値の低下
保存期間が長引くと、色あせや型崩れが起こりやすくなり商品価値が下がる。周りに置いている商品に色移りするなどし、売れる可能性のあった商品にも悪影響を与える場合がある。特に古着は皮脂が残っている場合があり、虫食いされやすい。
不良在庫は、企業の経営を圧迫する要因となり得ます。だからこそ、会社を健全に運営するには、適切な在庫管理が必要です。
参考:fuudee「アパレルの在庫の廃棄量は全体の◯◯%!?環境に優しい処分方法を解説 」
不良在庫を処分するとどうなる?得られる3つのメリット
不良在庫は、企業の成長にマイナスの影響を与えるリスクがあります。そのため、古着ビジネスを軌道に乗せて利益を上げ続けるには、適切なタイミングで不良在庫を処分しなければなりません。不良在庫を処分すれば得られるメリットについて、解説します。
管理コストを削減できる
不良在庫は、売れる見込みがないにも関わらず保管場所の賃料や光熱費、人件費など管理コストがかかり続けるため、経営を圧迫する要因になりかねません。
経営資本を企業の成長のために使うという本来の使い方をするためにも、不良在庫を処分し無駄なコストを抑えることは大切です。
不良在庫の整理で融資審査が有利に
金融機関は企業への融資を検討する際、不良在庫の量や棚卸資産の内容も含めて、財務の健全性を総合的に評価します。
そのため、在庫の中に売れる見込みがない商品を多く抱えていると資産の質が低いと判断され、融資審査で不利になるかもしれません。
資金調達をスムーズに行うためにも不良在庫は定期的に処分し、財務内容を健全に保ちましょう。
税負担を軽減できる
在庫は、会計上「棚卸資産」として扱われます。そのため、不良在庫で売れる見込みがない商品でも、会計上は資産として評価されるため課税対象です。
売り上げにつながらない商品に対して税金がかかっている状況は、財務の健全性を損なう要因になり得ます。
こうした不良在庫を適切な手続きにより評価損または廃棄損として処理すれば、棚卸資産が減り税負担を軽くすることが可能です。
ただし、廃棄する場合は、税務当局からの妥当性の承認が必要となる場合があります。税理士など、専門家に相談しながら対応すると安心です。
参考:近畿エコロサービス株式会社「廃棄証明書とは?マニフェストとの違いや保管期間について解説」
不良在庫を処分する3つの方法|適切な方法を選ぶコツと注意点
不良在庫を多く抱え続ければ、企業の運営や成長に悪影響を与えるため、適切なタイミングでの処分が欠かせません。古着の販売ビジネスの成長を邪魔しないよう、不良在庫の代表的な処分方法を理解しましょう。
値引きして売る
不良在庫を処分する方法の1つが、値引き販売です。「セール品」や「まとめ割」として販売すれば、売れ残った商品を現金化できます。
値下げによって1点あたりの利益は小さくなりますが、廃棄すれば1円の利益にもなりません。値引きしてでも売り上げにつながれば、少しでも会社の損失を小さくできます。
ただし、頻繁にセールを実施していると、ブランドイメージや信頼感の低下につながるかもしれません。消費者が「セールまで待とう」と考えるようになれば、通常価格での売り上げに影響を及ぼす可能性もあります。
不良在庫の処分のためには値引きセールが有効ですが、決算時やイベント時などタイミングを見極め、計画的に実施することが大切です。
海外に輸出する方法も検討
不良在庫の処分方法として近年注目を集めているのが「海外への輸出」です。
国内では売れる見込みがない商品でも、海外にニーズがあれば販売商品として活用でき、会社の利益につながります。
日本の服は、高い技術力によって製造されているうえに厳しい品質検査をクリアしているため、世界からも人気です。特に東南アジアでは日本製の古着が高い人気を誇っており、需要が高まっています。
廃棄する方法もあるが最終手段
セールや輸出といった方法でも処分できなかった場合は、「廃棄する」という選択肢もあります。
廃棄すれば不良在庫が減るメリットがある一方で、廃棄料や輸送料などのコストがかかる点がデメリットです。
売り上げはゼロにも関わらず支出が増えてしまうため、やむを得ない場合の最後の手段として選択するのが望ましいでしょう。
経営を安定化させる!不良在庫の発生を防ぐための3つの対策
不良在庫が発生した場合は処分するという選択肢がありますが、そもそも不良在庫を抱えないようにすれば、処分にかかる時間やコストを削減できます。財務を安定させて企業の成長につなげられるよう、不良在庫の発生を防ぐ方法を理解しましょう。
①適正な在庫量を把握し調整する
多すぎる在庫数は、人件費や光熱費などの管理コストの上昇を招き、利益を圧迫する要因になります。一方で在庫数が少なすぎる場合は欠品リスクが高まり、販売機会の損失や売り上げの減少につながるかもしれません。
商品棚が充実していない状態では、消費者の購買意欲が低下しやすく、店舗やブランドイメージにマイナスの影響を与えるおそれもあります。このように、在庫数は多すぎても少なすぎても企業にとってマイナスです。過去の売り上げデータやトレンドを参考に適切な在庫量を見極めたうえで、売れ行きに応じて柔軟に仕入れ量を調節しましょう。
②在庫の回転率を上げる
「在庫回転率」とは「出庫率÷平均在庫数」で算出される指標で、在庫がどれくらいのスピードで入れ替わっているかを表します。この数値が高いほど仕入れた商品が短期間で売れていると判断できるため、在庫管理が効率的に行われていると考えて良いでしょう。
ただし、在庫回転率が高いと、在庫が不足するリスクも高まります。販売機会を逃さないためにも、定期的な商品補充の体制作りが必要です。また、季節によって売れやすさが大きく変わるアイテムは、在庫回転率だけでは仕入れ量の判断が難しいケースもあります。過去のデータや他社の在庫回転率を参考にしながら、適切な在庫量をキープしましょう。
③在庫管理システムを取り入れる
人の手だけで、膨大な量の在庫を管理するのは困難です。どれだけ慎重に作業しても次のようなミスが発生する可能性はあるため、過剰な在庫を抱えるリスクがあります。
・過剰発注
・発注忘れ
・数え間違い
このようなヒューマンエラーを防ぐ手段として有効なのが「在庫管理システムの導入」です。「売れている商品は何か」「どのくらいの量が売れているのか」といったデータを自動で管理できます。
また、仕入れの精度を上げられるため、不良在庫の発生を予防することが可能です。
さらに、販売データをもとに売れ筋商品を分析すれば、販売戦略の立案や在庫管理がしやすくなります。在庫回転率の向上や売り上げの最大化も目指しやすくなるでしょう。
まとめ|不良在庫管理のポイントはムダをなくして利益を伸ばす
不良在庫は、気づかないうちに企業の成長を妨げる要因になる可能性があります。特に、トレンドの移り変わりが激しい古着業界においては、在庫管理は企業の経営を安定させるために重要です。
発生した不良在庫を削減・処分する取り組みも重要ですが、そもそも不良在庫を生まない管理体制作りも必要になります。利益を最大化できるよう、過去の販売データや在庫管理システムを効果的に活用しながら、適切な在庫量の維持に努めましょう。