ファストファッションがもたらした問題って?大量生産大量消費の裏側とサスティナブルな取り組み
ファストファッションはオシャレなのに手頃な価格が魅力ですよね。いまや多くの人に支持されているので、誰でも1着はもっているのではないでしょうか。
でも近年、ファストファッションがもたらした問題がより深刻化しているといいます。
ファストファッションの大量生産・大量消費の裏側には、じつは環境問題やゴミ問題があったのです。
今回は、ファストファッションがもたらした問題や、解決するために企業などがおこなっている取り組みについてご紹介したいと思います。
サスティナブルな地球環境を目指すために私たちができることも考えてみましょう。
目次
ファストファッションがもたらす深刻な問題とは?
大量生産・大量消費のファストファッションが、どのくらい私たちの生活に浸透しているのでしょうか。また、それによってもたらされた深刻な問題をみていきましょう。
ファストファッションの現状とは?
ファストファッションの浸透によって、日本では1年間に購入する服の枚数が増えています。なぜなら、洋服1枚の金額が昔よりもぐんと安くなったからですよね。
でも、じっさいに買った服を着用しているかというとそうでもないのです。
環境省によると、年間1人あたりの衣類消費と利用状況は、購入枚数18枚に対して手放す服が12枚、そして着用されない服は25枚とあります。
また、手放した服の約7割弱は可燃ごみや不燃ごみとして廃棄されています。残りの約3割程度しかリユース・リサイクルされていないのです。
ファストファッションの生産過程で生じる3つの問題点
ファストファッションが大量生産される過程で、地球環境にとって大きな問題が生じています。
・CO2の排出:
工場で機械を動かすため、原料や生産物を輸送するためなど、年間約90,000kt排出されています。
・水の大量消費:
木綿の栽培や生産過程で年間約83億㎥の水が必要です。1着の服をつくるのに、浴槽約11杯分の水量に換算できます。
・端材などの排出:
年間約45、000t。リサイクルされずにほとんどが廃棄されています。
ファストファッションが手放されたあとのゴミ問題とリサイクル事情
手放された服がどのような道をたどるのかみていきましょう。
①ゴミとして廃棄:
ゴミとして廃棄された服は、焼却処分や埋め立てられます。日本では年間約48万トン(大型トラックにして毎日130台分)にものぼります。処分のさいにもCO2が排出されるので環境負荷が大きくなります。
②リユース・リサイクル:
リサイクルショップやバザー、フリマアプリで再度販売されることもありますし、店舗や自治体で回収されることもあります。また、海外への寄付、古繊維業者によって海外輸出もされています。
【参考:環境省「サステナブルファッション」】
ファストファッション問題をめぐるさまざまな取り組み
ファストファッションがもたらした深刻な問題を改善すべく、多くの企業がさまざまな取り組みをはじめています。その事例をみていきましょう。
ファストファッションブランドの取り組み事例
大手ファストファッションブランド企業といえばH&MやZARAが有名ですよね。これらの店舗では、再生可能なエネルギーを使用しています。また、5年〜10年のうちに100%サスティナブルな素材で製品をつくることを目標に掲げています。ZARAでは、フルーツの皮や搾りかすから繊維をつくるなどの研究開発がすすんでいるようです。
ユニクロでは本格的なリサイクル活動をはじめました。全商品のリサイクルを掲げ、服から服だけでなく、服から代替燃料への再生や希少性のある資源としてダウンの有効再利用などに取り組んでいます。
マイクロプラスティックを出さない洗濯ネット
マイクロプラスチックとは、直径5mm以下の小さなプラスチックのことです。近年、海洋汚染の主な原因となっていて、海の生態系や漁業や養殖業に悪い影響をあたえています。
このマイクロプラスチックは、ポリエステルやポリウレタン、アクリル、ナイロン素材の服を洗濯するたびに流出しているのです。
とても細かいため、下水処理を通り抜け海へ放出されます。そのため、網目が細かく二重になった洗濯ネットが開発され販売されています。
アップサイクル素材の開発
アップサイクルとは、アップサイクルとは元々の素材を活かしながら、付加価値をつけ新しいモノとして生まれ変わらせることです。
不要となった服を廃棄するのではなくよりファッショナブルにしたアップサイクルブランドも増えています。
また、大量に廃棄されていた生地の端材などを利用して、新しい素材の建材やリサイクルボードの開発が進んでいます。
[参考:Wikipedia「アップサイクリング」】
ファストファッション問題に対して私たちができることってなに?
ファストファッションの大量消費者として、私たちにもできることがたくさんあります。SDGsにある「つくる責任つかう責任」という目標に向けて、次のようなことを意識してみませんか。
スローファッションを取り入れてみる
スローファッションとは、愛着をもって丁寧に長く着られるファッションのことです。
本当に好きなものや必要なものか、長く着られる素材でつくられているか、リペアがしやすいかどうかなどが見極めのポイントです。
レンタルサービスやシェアリングサービスを利用する
最近では、ファッション・アパレル関連のサブスクが注目されています。
月額制で毎月着てみたい服をレンタルできるサービスです。じっさいに購入して結局着ないまま捨ててしまうこともなくなります。
古着をおしゃれに楽しむ
ひと昔前のように古着を着ることに抵抗感がある人も減ってきているようです。若い世代の間ではフリマアプリなどでよく古着が販売されています。
新品にはないヴィンテージ感が楽しめたり、自分流におしゃれにアレンジできることが魅力です。服は服としてリユースされるのが一番のエコです。
まとめ|ファストファッションの問題とは?
ファストファッションの魅力は、最新の流行を取り入れつつも価格が安いことです。いっぽうで、短いサイクルで廃棄されていることも忘れてはいけません。
大量生産・大量消費されるファストファッションの裏側には、地球規模の問題があるからです。
服を生産するさいには多くのCO2が排出され、莫大な水が必要なのです。また、生産過程で出る端材も大きな問題となっています。
ファッション・アパレル企業は、環境負荷を抑えるためにさまざまな取り組みをはじめています。持続可能な地球環境を実現させるために、私たちもできることからはじめてみましょう。