フォワーダーとは何か?仕事の内容・資格・年収の徹底解説ガイド
国際物流の世界に興味を抱いているなら、「フォワーダー」という職種はぜひ把握しておきたいキーワードです。貨物の輸送手配から通関、スケジュール管理まで担うフォワーダーは、まさに国際物流の“縁の下の力持ち”と言えます。
本記事では、基本的な定義から他業種との違い、実務スキル、キャリアパス、年収事情まで丁寧に解説します。未経験の方も、キャリアアップを目指す方も、本記事でフォワーダーの全体像がつかめるでしょう。さらに、将来性や働く魅力にも触れ、国際舞台で活躍したい人の第一歩を後押しします。
目次
フォワーダーの基礎知識|役割と業務の全体像を理解しよう!

フォワーダーは国際物流の調整役として、荷主と輸送業者の間をつなぐ重要な存在です。輸出入に関する手続きや通関、輸送手配など幅広い業務を担い、貨物を安全かつスムーズに届ける仕組みを支えています。
フォワーダーの定義と国際物流での役割
フォワーダーとは、荷主に代わって輸出入貨物の輸送を手配する専門業者になります。航空会社や船会社など複数の輸送手段を組み合わせ、最適なルートとコストで貨物を届ける指揮者のような存在です。
通関や保険手続き、書類管理まで対応するため、貿易実務の知識と調整能力が求められます。物流が国境を越えて複雑化する現代では、フォワーダーがいなければ国際取引は成り立ちません。まさにグローバル経済を支える「影の立役者」といえるでしょう。
フォワーダーの業務範囲には、たとえば次のような対応が含まれます。
・通関手続き
・保険の加入・補償手配
・各種書類の作成・管理
輸送手配から通関までの業務フロー
フォワーダーの業務は、依頼を受けた瞬間から始まる一連の調整業務です。まず輸送手段やスケジュールを選定し、必要書類を整え、貨物の引き取りから梱包、船積み・航空便の手配、通関処理までを一貫して担当します。
輸出時はインボイスやパッキングリスト、輸入時は関税や検疫対応など、細部まで確認する力が求められます。さらに、トラブル発生時には現地業者との素早い連携も欠かせません。複数国の規制を踏まえ、安全に荷物を届けることがフォワーダーの使命となるでしょう。
NVOCC・通関業者との違いを比較
フォワーダーと混同されやすいのがNVOCC(非船舶運航業者)や通関業者です。
NVOCCは自社名で運送状(B/L)を発行し、輸送契約を請け負う「運送人」に近い立場になります。
一方フォワーダーは、荷主の代理として最適な運送ルートを提案・手配する「仲介者」として機能します。通関業者は通関業法に基づき税関手続きを専門に行う国家資格者で、フォワーダーが外部に依頼することも多いです。
これらの違いを理解すると、業界全体の構造がより明確に見えてくるでしょう。
フォワーダーの実務とキャリア|必要スキルと資格を伝授

フォワーダーの実務には、正確な事務処理と臨機応変な対応力、そしてグローバル視点での判断力が欠かせません。特に英語によるやり取りや国際規格への理解は必須スキルとなります。
実務で求められる英語力と専門スキル
フォワーダーの現場では、海外とのやり取りが日常的に発生します。英語メールでの交渉や書類作成、スケジュール調整など多岐にわたるでしょう。そのため実務で求められる英語力は決して低くありません。
特にインコタームズ(貿易取引条件)や輸送用語を理解していないと、誤解による損失につながることがあります。加えて、輸送管理システム(TMS)の操作、通関関連の基礎知識、為替や保険の理解も欠かせません。
英語力だけでなく「国際的な物流センス」が成否を分けると言えるでしょう。
有利になる資格とキャリア形成の流れ
フォワーダーを目指すうえで資格は大きな強みになります。通関士、貿易実務検定、TOEICなどは業界で評価されやすく、特に通関士資格を持つ人はキャリアアップのスピードも速い傾向です。
入社後は営業や業務、管理などの部門に分かれ、経験を積むことで国際輸送全体をマネジメントできるポジションを目指せます。資格と実務経験の両輪を意識し、幅広い輸送知識を蓄えることがキャリア形成の鍵となるでしょう。
未経験からフォワーダーを目指す方法
未経験からでもフォワーダーを目指すことは十分可能です。多くの企業では英語力や貿易知識よりも、柔軟な対応力や顧客志向を重視しています。まずは物流会社や通関業者で基礎を学び、輸送フローを理解することが第一歩です。
オンライン講座や通関士試験の学習で専門知識を補強すれば、実務に入ってからの吸収も早まります。焦らず現場経験を積み、英語力を磨きながらスキルを伸ばしていくことが最短ルートになるでしょう。
フォワーダーのやりがいと大変さ
フォワーダーの仕事の魅力は、世界中の人や企業とつながり、目に見える形で物流を動かせることです。荷主の要望を叶え、予定通りに貨物が届いた瞬間の達成感は仕事のやりがいとなるでしょう。一方で、トラブル対応や時差・天候の影響など、ストレスの多い局面も少なくありません。
特にスケジュール変更や通関トラブルへの即応は体力的にも精神的にも負担が大きく、忍耐が試されます。臨機応変な判断力や粘り強さが問われますが、経験を積むほど交渉力と信頼が増し、国際舞台で活躍できる専門職としての誇りを実感できるでしょう。
フォワーダーの待遇と業界動向|年収・大手企業・将来性を解説

物流業界はグローバル経済の変化を受けやすく、フォワーダーの需要も時代とともに変動しています。とはいえ、国際取引の拡大により人材ニーズは高まり、安定した職種の一つといえるでしょう。
平均年収と待遇の目安を知る
フォワーダーの平均年収は、おおよそ400万〜600万円前後が一般的です。新卒や未経験では年収350万円ほどからのスタートが多い一方、英語力や通関知識を活かしてキャリアを積むと、海外営業や管理職で700万円超となる場合もあります。
外資系や大手総合物流会社ではインセンティブ制度が整い、実績次第で昇給スピードが速い点も特徴です。残業は時期で変動しますが、リモートやフレックス導入企業が増え、働きやすさは改善傾向にあります。
大手フォワーダー企業の特徴と強み
日本の代表的な大手フォワーダーは、以下の通りです。
・日通(NIPPON EXPRESS)
・近鉄エクスプレス
・郵船ロジスティクス
・阪急阪神エクスプレスなどが
これらの企業は世界各国に拠点を持ち、航空・海上・陸上輸送を一括管理できる体制を備えています。
日系大手は顧客対応力や通関ノウハウに強みがあり、品質の高さで信頼を獲得しています。外資系はスピード感や意思決定の速さが魅力です。いずれも国際ネットワークを駆使し、グローバルな物流インフラを支えています。
物流業界の将来性とキャリア展望
グローバル化やEC市場の拡大を背景に、フォワーダーの需要は今後も堅調と見込まれます。航空・海上輸送の最適化やデジタル管理の進展で業務効率は向上する一方、人材の専門性はむしろ重要度が増します。
AIやIoTによる可視化が進めば、フォワーダーは単なる「調整役」から「戦略的ロジスティクスパートナー」へと進化します。国際感覚を磨き、データ活用スキルを身につけることが、将来のキャリアを左右するでしょう。
まとめ|フォワーダーを理解して国際物流で安定したキャリアを築こう
フォワーダーは、輸出入の流れを統括し、貨物を世界中へ確実に届ける国際物流のプロフェッショナルです。
通関・輸送・書類対応を一手に担う責任は大きいですが、その分だけ社会的貢献度も高く、達成感のある仕事です。英語力や資格を磨きながら経験を重ねることで、国内外で安定したキャリアを築けます。
グローバルな視野を持って成長できる物流業界で、自分の可能性を広げていきましょう。未経験からでも挑戦できる道は開かれており、努力次第で専門職として確かな地位を築けます。学び続ける姿勢が、未来のチャンスを引き寄せる原動力になるでしょう。
代表取締役 末継 佳大
監修者
株式会社NIPPON47
前職はプロカメラマンとして10年ほど勤務。その後、カメラマンとして独立。タイへの出張時に現タイ法人の代表である日本人と知り合い2019年に同社を創業。当時はタイSAGAWAの代理店として様々な荷物を扱うが、コロナ禍に古着の輸送に特化したサービスを展開し今に至る。現在は、タイ・パキスタン・ドバイの各法人/オフィスと連携を取り合い、日本に拠点をおきながら古着仕入れ・輸出入のサポートを行う。
