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古着を考える…大量に処分される衣類と企業に求められる取り組み!消費者がすべきことは?

Sgds(持続可能な開発目標)…言葉は知っているものの何から取り組んでよいか分からない方は多いのではないでしょうか。実は、生活に欠かせない衣服を作るアパレル業界がSdgsに取り組んでいます。

 

今回は、アパレル業界が直面する環境と労働の問題、大量に処分される古着の現状、各アパレル企業のSdgsへの取り組みについてご紹介します。

 

各企業が実施する古着のリユースやリサイクルへの取り組みを知れば、消費者としてすべきことが見えてきますよ。

 

古着の大量な処分…現状や昨今の動向は?アパレル業界が切り離せないsdgs

 

アパレル業界が抱える環境と労働の問題、手放された服の最終集積地についてお伝えします。衣服の大量な生産、消費、処分による弊害が分かります。

 

なぜアパレル・衣類業界はサスティナブルな思考が必要なの?

 アパレル業界は環境と労働の問題を抱えており、Sdgsへの取り組みを求められています

 衣服は生産過程でCO2を排出し、大量の水や化学物質を使用しています。ファストファッション拡大に伴う古着の大量生産、大量処分は環境負荷につながっています。2020年の日本総合研究所の調査によると、衣服の国内新規配給量は1年あたり約82万tで、そのうち60%以上が処分されているのです。

 衣服の多くは発展途上国で生産されており、長時間・低賃金な搾取労働が問題です。2018年のワールドカップで作られたイングランドサッカーチームの衣服は、ファンには180ユーロで販売されていました。しかし、バングラデシュの生産者に支払われる1日当たりの賃金は2ユーロ以下。日本円換算で約300円の低賃金でした(2023年12月18日時点)。

 参考:環境省『令和2年度、ファッションと環境に関する調査業務』

日本国内の「手放された衣類」の行方…

 リユース目的で、アフリカに世界中の古着が集まっています。ダンドラはアフリカ最大のゴミ集積地と呼ばれ、山のようなハギレが地面に積み重なり川に流入しています。集積した衣服の自然発火や悪臭、家畜の化学物質汚染が起きているのです。海外から輸入された古着が安価なため、国産の衣服が売れない現象も起きています。

衣類の生産や古着を大量に処分する弊害をなくすために必要な努力

衣類を生産するのは環境を破壊し、古着を大量に処分するのも弊害があることがわかりました。衣類にまつわる環境や労働問題を解決するために、できることはあるのでしょうか

国内で売られている古着を利用する

まずは国内で古着を循環させるのが大切です。自社で古着を回収し、リメイク古着として売るリユースをしたり、古着を繊維に戻して新しい古着を作る技術を開発したりしている企業があります。

国内で販売されている古着やリユース商品を利用して、大量に処分する流れをなくしましょう。長く着られそうな素材や繊維の衣類を生産するのも大切です。

古着の処分方法や雇用をするさいの注意

古着を大量に処分する目的で、闇雲に海外に寄付するのはやめましょう。古着を売った資金を、発展途上国のワクチンや学校の支援に充てている団体があるので、古着そのものを送る以外の支援方法も検討すると良いです。

 また、海外の労働者を雇っている場合は、フェアトレードを行いましょう。フェアトレードやエシカルファッションに取り組んでいる企業は、生産・製造過程の環境やコストを公開すると消費者にアピールできます。

【11の企業】循環する衣類へ!古着の大量・処分を考えた企業の動き

大量な古着の処分に関する各企業の取り組みをご紹介します。企業の取り組みを知ることで、消費者がすべきことも見えてきます

①ユニクロ|環境負荷だけでなく社会にも目を向ける

ユニクロは古着を通じた社会貢献に取り組んでいます。

アフリカ、アジア、中東などの世界80の国と地域の難民に対し、5,050万点の古着を寄贈(2022年8月末時点)。子どもが主体になって古着の回収を行い、子ども服を難民に寄贈する次世代支援活動も展開しています。

他にも、DV被害女性のシェルターへの古着寄贈や、新潟集中豪雨をきっかけに緊急災害時の救援衣料活動も実施しています。

 参考:ユニクロ・ユニクロとSDGs

 ②ZARA|古着回収プログラム

 ZARAは非営利団体と連携し、店舗に設置したコンテナで回収した古着の寄付、リサイクルショップでの販売、リサイクルに取り組んでいます。利益は地域の社会的プロジェクトに還元されます。

 ZARAが掲げる「JOIN LIFE」は持続可能な産業モデルへの移行を考え、改善していくプロセスのシンボルです。Sdgsに基づいた厳しい目標設定をもとに、取り組みを進めています。

 参考:ZARA・JOIN LIFE

 ③無印良品|「Re MUJI」

 2010年にスタートした「Re MUJI」に基づき、店舗で回収した古着をリユース、リサイクルする取り組みを行っています。古着のアップサイクルの取り組みは特徴的です。日本伝統の藍色や黒への染め直し、洗浄、古着と古着をつなぎ合わせてリメイクなどを行い、店舗で再販売しています。

 素材の選択、工程の点検、包装の簡略化の3つの視点で、無印良品は社会や環境に配慮したものづくりに挑戦し続けています。

 参考:株式会社良品計画・サステナビリティ

 ④パタゴニア |労働者により多くの発言権

 パタゴニアは、すべての労働者に公正で安全な就労環境を保障するミッションを設定。実現のために、労働者が声を上げられる苦情システムを作っています。

 フェアトレード水準の認証を受けた工場で作られた全製品にプレミアを支払っています。インド工場の労働者の希望は、モンスーンシーズンの通勤時に雨に濡れないことや、寮のキッチン設置でした。キッチンの設置に応じた工場はプレミアを取得。プレミアを使って、レインコートの購入ができました。

 参考:パタゴニア『労働者により多くの発言権を』

 ⑤ユナイテッドアローズ|古着の回収キャンペーン

 ユナイテッドアローズは、期間限定で古着の回収キャンペーンを実施。古着を持参したお客様に2000円OFFクーポンを配布しています。他のブランドのアパレル商品も回収しています。

 回収した古着は、株式会社JEPLANの「BRING™」を通じてリユースやリサイクル。古着は材料やパーツごとに分類後、ポリエステル原料に加工されて新たな衣服や燃料に生まれ変わります。

 参考:ユナイテッドアローズ『UA RECYCLE ACTION』

 ⑥ビームス|モノを売らないお店

 ビームスは「つづく服。」プロジェクトを掲げて、地球環境やエネルギー問題に取り組んでいます。

 2023年10月に初の店舗企画として、原宿に「モノを売らないお店」を期間限定オープン。約260名のお客様が訪れ、約1200点のアイテムが交換されました。

 ストーリー交換ブースでは、ビームスのスタッフやクリエイターとお客様が、想いの詰まった古着を交換。再循環ブースでは、お客様が持ち込んだ古着とビームスの経年在庫や経年劣化アイテムとの交換がされました。

 参考:ビームス『モノを売らないお店が原宿に期間限定オープン』

 ⑦ステラマッカートニー|ベジタリアンレザー

 ステラマッカートニーは2001年のブランド設立以来、動物由来の素材(レザー、毛皮、フェザー)を一切使用しないスタイルを貫いています。ベジタリアンレザーと呼ばれる独自の合成皮革を採用。2018年、キノコの菌糸から作られた「マイロ™」素材の衣服を開発しています。動物愛護の精神にのっとり、環境負荷が少なくハイクオリティな商品を生み出しています。

 参考:ステラマッカートニー

 ⑧ティファニー:ダイヤモンドの軌跡

 サステナビリティへの取り組みを20年以上リードしてきたティファニーは、ダイヤモンドになるまでの軌跡を透明化。すべてのダイヤモンド(0.18カラット以上)を個別登録し、原産地情報を提供しています。2020年、グローバルラグジュアリージュエラーとして初めて、ストーン製作先の国名を公表しています。

 参考:ティファニー『責任あるダイヤモンドの採掘とサステナビリティ』

坂口捺染|リメイク古着を販売

ダメージがあってそのままでは売れない古着があります。古着の使える部分を切ったりつなげたりして、新しい服を作るのが古着のリメイクです。衣類プリントを行う坂口捺染では、高齢者を雇ってリメイク古着を生産・販売しています。

古着が現代の若者に合う服として再利用されたり、労働問題に取り組んでいるアパレル企業といえるでしょう。

参考:リユース経済新聞「坂口捺染、衣類プリント加工企業がリメイク古着に挑戦」

⑩スパイラル株式会社 まちおこしDXカンパニー|古着の聖地でイベントを開催

古着の聖地は下北沢といわれています。下北沢には約200店舗の古着屋があり、一点ものの服が売っていると若者に人気です。タウンマネジメントしているスパイラル株式会社は、「下北沢マーケットプレイス」という古着を売るイベントを開催しています。

古着を知らない消費者にも古着の魅力を知ってもらう機会となり、地域活性化に加えて、国内で衣服を循環させる取り組みといえるでしょう。

参考:スパイラル株式会社 まちおこしDXカンパニー「夜市始まる!下北沢へ古着を探しに出かけよう「下北沢古着マーケット+(プラス)古着夜市」を9月14日(土)、15日(日)、16日(月・祝)、21日(土)、22日(日)、23日(月・休)の6日間開催!」

⑪RAILSIDE COFFEE & VINTAGE|消費者にエシカルを周知する取り組み

安い商品を大量に購入したり、古着を大量に処分したりする現状を変えるには、消費者の考え方も重要です。都内で古着の販売を行うRAILSIDE COFFEE & VINTAGEでは、エシカル消費について考えてもらうためのイベントを開催しました。

エシカルファッションについて認知度を上げる取り組みをしているイベントに賛同するのも、企業ができることの1つです。

参考:リユース経済新聞「「注目の取組み」古着の聖地・下北沢でエシカルイベントを開催」

まとめ

今回は、大量に処分される古着の問題とアパレル企業の取り組みについてみてきました

アパレル業界は、服の製造過程で生じる環境負荷と労働者の人権問題を抱えており、Sdgsへの取り組みを求められています。各アパレル企業の古着やSdgsへの取り組みは次の通りです。

・難民や被災地、DV被害女性への古着寄贈(ユニクロ)

・古着回収システムの実施(ZARA、無印良品、ユナイテッドアローズ、ビームス)

・労働者が利用できる苦情システムの確立(パタゴニア)

・国内で古着を循環させる取り組み(坂口捺染、スパイラル株式会社 まちおこしDXカンパニー 

消費者はサステナブルに配慮して作られた服の購入や、各企業が実施する古着回収サービスに参加すると、持続可能な社会を目指せるでしょう

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