タイから輸入のやり方と損しない費用ガイド|総コストを抑えた運用のやり方
安く安全にタイから輸入するには、どのような方法があるでしょうか。
コストを抑えるには、仕入れ値だけでなく関税や通関料など総コストで勘案しましょう。
本記事では、コスト削減の判断軸として、個人輸入と輸入代行の使い分け、関税率の把握方法や節税にもなるEPA税率を解説します。
また、返品や法令違反のリスクを避けるために、仕入れ時の偽ブランドの回避方法から販売時の表示義務を整理。最短フローで安全に運用できます。
初めてタイから輸入する方でも、迷わずにローコスト・ローリスクの運営フローが作成できるでしょう。
目次
タイから輸入の全体像を理解する!個人輸入と輸入代行の違い

タイから輸入するには、仕入れから納品まで個人で行う個人輸入と輸入代行を利用する二つの手段があります。
それぞれの特徴と輸入に必要な書類を把握し、コストと事業スタイルに見合う方法で輸入をはじめましょう。
仕入れから納品まで個人輸入
個人で、仕入れから納品まで行うメリットは、仕入の自由度と自分で確実に検品できる点にあります。
一方で、デメリットは書類不備やHSコードの誤りなど、事務処理にコストがかかる点です。
初めて個人輸入する場合は、小ロットから始め必要書類の漏れがないようにしましょう。
輸入代行を利用してリスクを減らす
輸入代行は、通関など各工程を専門業者に任せられ、差戻しや検査対応といったコストが圧縮できます。代行料はかかりますが、実質的に安く感じる場合もあります。
費用だけでなく、タイからの輸入に精通しているか安全面でも比較した上で業者を選定しましょう。
タイから輸入するときの必要書類一覧
輸入時に最低限必要な書類をまとめました。
・インボイス:輸出元が発行し、通関と課税計算の元となる基本情報をまとめた書類。
・パッキングリスト:梱包ごとの内容物などが記載してあり、検査や仕分けに使う明細書。
・運送書類:航空貨物運送状(AWB)または船荷証券(B/L)で、運送契約と貨物引渡条件を示す書類。
・運賃明細書:フォワーダーや船社・航空会社が発行する国際輸送費を示す請求明細。
・保険料明細書:海上・航空貨物保険の詳細が記載され、通関確認や事故時の保険金請求の根拠となる明細。
輸入する品目により、原産地証明など追加書類が必要になります。
よくある書類不備が、英語表記での記入ミスや合計と内訳金額の不一致です。代行業者を入れると書類準備の負担も軽減されます。
参考:税関|1107 輸入申告の際に必要な書類 (カスタムスアンサー)
タイから輸入するときの関税とは?|最低限用意するべき費用

商品の輸出入には全て関税がかかります。関税率は世界共通のHSコードごとに設定され、一覧で確認可能です。
タイから輸入する際には、EPA(経済連携協定)が適用され無税になる製品も多くあるため、事前に確認しコストを抑えましょう。
HSコードで関税率を把握する
HSコードとは、世界税関機構が定めた世界共通の6桁の番号で、関税率の分類などに使用されています。
例えば、HSコード「610413」は以下の製品が該当します。
・類:61「衣類及び衣類附属品」
・項:6104「女性用スーツやアンサンブル、ジャケットなど」
・号:610413「合成繊維製の女性用スーツ」
類・項まで同じ「610419」は「その他の紡織用繊維製の女性用スーツ」を指し、HSコードだけで、どの素材で製造されたかまで把握可能です。
HSコードがわからない場合は税関に問い合わせ、差し戻しのないようにしましょう。
(参考:税関|輸出入通関手続きの便利な制度)
簡易税率の適用条件とは
課税価格(支払額+送料等)の合計が20万円以下の場合、一般の課税率より少額の簡易税率が適用されます。
例えば、中古の衣類は一般関税率7%ですが、簡易税率では5%です。
ただし、簡易税率が適用されない物品もあります。ニット類衣類や履き物、ハンドバックなどの革製品は、課税価格が20万円以下でも一般関税率が適用されるため注意しましょう。
節税対策に利用したいEPA
EPAは、特定の国や地域間の輸出入に係る関税の撤廃や削減などを約束した協定です。
日本とタイはEPA協定を結んでいるため、HSコードで該当品目を確認し、原産地基準を満たせばEPA税率が適用されます。
原産地基準の要件は3パターンあります。
・完全生産品:動植物など生産が1カ国で完結している
・原産材料のみから生産:締約国内の原材料のみで生産されている
・実質的変更基準を満たす産品:最終産品が元の材料から大きく変化している場合、最終産品が締約国で生産されている(例:他国の毛糸を使ってタイでセーターを生産)
例えば、タイ国内で生産された中古衣類(HSコード630900)であれば、EPA税率が適用され無税となります。
タイから輸入した商品を販売する際の必要な表示とリスク回避

タイから輸入した商品をそのまま日本で販売するにはリスクがあります。日本語によるタグ表記や原産国表記を徹底し、不適切表示と判断されない運営が大切です。
また、偽ブランドの仕入れを回避できるように、チェック方法を整理しましょう。
繊維製品の必須表示
日本では、消費者の利益保護を目的に「家庭用品品質表示法」が定められ、繊維の組成や取り扱い方法などの表記が求められています。
輸入品に対しても適用され、外国語で記載されていても改めて日本規格に適用させた表記が必要です。
原産国表示を正しく行い返品リスク回避
どこの国で作られた製品なのか気にする方も多く、返品リスクを避けるためにも原産国表示は正しく行いましょう。
仕入国をそのまま表記するのが原則です。再縫製・再加工を行う場合は基準が変わる可能性があるため「原産国表示マニュアル(社団法人日本アパレル産業協会)」を確認しましょう。
ECサイトでも表記場所を統一し、誤認を招く表現を避けると返品や低評価を減らせます。
参考:社団法人日本アパレル産業協会|アパレル業界における 原産国表示マニュアル
偽ブランドの見分け方と確認手順
輸入する製品が正規品であるかの確認は必須です。ロゴやタグ、縫製の細かさや付属有無など、チェック項目を作成し確認漏れを防ぎます。
疑義がある場合は、税関の輸入差止申立情報を確認し、正規のロゴ表記などと比較すると偽ブランドを回避しやすいです。
万が一、通関で差止となった際は意見書と証拠書類の提出が求められます。疑わしい品は入れない運用が安全です。
タイから輸入でよくある質問|出費とリスクを抑えた運用方法

タイから輸入前に把握したい、EPA税率の適用に必須な原産地証明や、通関業者と輸入方法の選び方を整理します。
費用面だけでなく事務作業による時間的コストにも着目し、ローコスト・ローリスクで運用しましょう。
原産地証明はいつ誰に頼むのか?
EPA活用が見込まれる場合は、発注段階で仕入先へ依頼しましょう。
日本とタイ間では、第三者証明制度が適用され、タイの権限ある発給機関に申請する必要があります。仕入れ先と連絡を密に取り、遅延のないよう進めましょう。
通関業者の選び方とは?
コストは通関料だけでなく保管料や再配送料など細分化して比較しましょう。また、業者ごとに得意な配送方法や地域があるため、安心して任せられるかも重要な比較ポイントです。
個人輸入と代行輸入どちらにすべきか?
輸入量とコスト、事務作業の手間など総合し勘案しましょう。
タイに慣れている方や小ロットの仕入れが中心になるなら個人輸入で回転を上げられます。
中〜大ロットでの仕入れや初めての輸入、事務作業を軽減したい方は代行を利用すると便利です。
まとめ|タイから輸入を安定事業にするコスト低減の方法
タイから輸入を安心して運用できるように、コストとリスクを中心に解説しました。
個人輸入も可能ですが、各工程を代行業者へ依頼すれば、書類の漏れや返品など無駄なコスト削減とリスク回避に繋がります。
業者選びは、コストだけでなくタイの事情や仕入れ品に詳しいのかも大切な判断軸です。
販売前にはタグ表示と原産国表示を確認し、法令違反のリスクを減らします。
まずは、HSコードで関税率など最小コストを整理し、無理なく支払える代行料のラインを把握しましょう。初めてタイから輸入する方でも安定した運営ができます。
代表取締役 末継 佳大
監修者
株式会社NIPPON47
前職はプロカメラマンとして10年ほど勤務。その後、カメラマンとして独立。タイへの出張時に現タイ法人の代表である日本人と知り合い2019年に同社を創業。当時はタイSAGAWAの代理店として様々な荷物を扱うが、コロナ禍に古着の輸送に特化したサービスを展開し今に至る。現在は、タイ・パキスタン・ドバイの各法人/オフィスと連携を取り合い、日本に拠点をおきながら古着仕入れ・輸出入のサポートを行う。
