LINEで
お問い合わせ
   
  • TOP
  • 輸送について
  • 航空便輸送について
  • 海上便輸送に着いて
  • 仕入について
  • 古着仕入について
  • 仕入れ代行について
  • 衣類と未来
  • 会社案内
  • 会社概要
  • 私たちの取り組みについて
  • 累積実績
  • ブログ
  • FAQ
  • お問い合わせ
  • BLOG

    ブログ

    お役立ち情報

    インコタームズとは|11種類の貿易条件と企業が知っておくべき注意点

    海外との取引では、解釈の違いからトラブルが起こるケースがあります。特にコストや事故などのリスクに対しては、事前の明確な取り決めがトラブル回避につながります。

     

    インコタームズとは、企業間の輸出入取引におけるコスト負担や責任を明確にするために策定された国際基準です。今回は、インコタームズの概要を整理し、実際の取引で気をつけたいポイントを解説します。安全・安心な条件のもと取引を行えば、今後の交渉にもよい影響をもたらすでしょう。

     

    インコタームズとは何か|2020の内容と定義を解説

    インコタームズとは、国境を越えた取引における費用と責任の範囲を標準化した国際的な基準です。特に企業間の取引では、条件の曖昧さが重大な損失に直結するため、適用が不可欠です。まずは前提知識として、インコタームズの概要を確認します。

     

    インコタームズとは?

     

    インコタームズは、国際商業会議所(ICC)がまとめた国際貿易取引条件です。

     

    国際貿易では、国ごとにルールや規制が異なるため、取引に関する認識のズレや慣習の違いからトラブルが発生するケースがあります。各国の取引条件の解釈の違いを調整するルールとして、1936年に誕生しました。

     

    最新は2020年版で、取引実態に合わせて数年ごとに改定されています。

     

    インコタームズ2020と2010の違い

     

    2020年版では、各取引の性質や企業の立場に応じて、最適な貿易条件を選択できるよう調整されています。前回の2010年版からの変更点は、以下の7項目です。

     

    1.FCA条件での「積込完了の船荷証券(Shipped B/L)」が発行可能になった

    2.売主・買主の費用分担が一覧で明確に示された

    3.CIP条件でのより手厚い保険補償が売主に義務付けられた

    4.自社の輸送手段による輸送も可能になった

    5.DATからDPUへの変更により、指定場所での荷下ろしが可能になった

    6.輸送時の安全やセキュリティ対策が強化された

    7.各条件に利用者向けの解説ノートが追加された

     

    7つの中で最も重要なのが、「指定場所での荷下ろしが可能になった」です。これまで貨物の引渡しはターミナルのみで可能でした。しかし改定によって任意の場所で荷下ろしができるようになり、取引の柔軟性が大きく向上しました。

     

    輸送に関する2つの定義

     

    国際貿易を円滑に進めるにあたって、輸送に関する「費用負担」と「リスク負担」の2つが定義されています。

     

    ・費用負担:諸費用(通関・運賃・積載・保険など)の負担を売主と買主のどちらが行うか

    ・リスク負担:輸出入時の事故や不手際で貨物に損失が発生した場合、どちらが損害を負担       するか

     

    取引条件が明確でないと、費用や責任の所在が曖昧になり、交渉の行き違いやトラブルが起きやすくなります。海外との取引では、費用やリスクの責任の所在を明確にするインコタームズが重要なのです。

     

    参考:日本貿易振興機構(ジェトロ)「インコタームズ2020」

     

    インコタームズとは11種類の貿易条件!それぞれの適用範囲を確認

    インコタームズとは国際取引での責任の所在を明確にするためのルールです。条件には「輸送手段を問わず使えるもの」と「海上輸送専用のもの」の2種類があります。ここでは、よく使われる条件と適用範囲を詳しくみていきます。

     

    種類はアルファベットで3文字で表される

     

    2020年に改定されたバージョンでは、計11種類の貿易条件があり、それぞれに適用される輸送手段が異なります。各条件は3文字の略語で識別され、実務の現場で迅速に理解・適用できるよう工夫されています

     

    すべての輸送手段に対応した条件(陸・海・空に対応)

    ・EXW(Ex Works)

    ・FCA(Free Carrier)

    ・CPT(Carriage Paid To)

    ・CIP(Carriage and Insurance Paid To)

    ・DAP(Delivered At Place)

    ・DPU(Delivered at Place Unloaded)

    ・DDP(Delivered Duty Paid)

     

    海上輸送限定の条件(港から港の取引)

    ・FAS(Free Alongside Ship)

    ・FOB(Free On Board)

    ・CFR(Cost and Freight)

    ・CIF(Cost, Insurance and Freight)

     

    一つひとつの条件を理解し、取引内容に応じた適切な選択が必要です。

     

    輸送全般に適用される条件

     

    日本の貿易実務でよく使用されるのは、以下の3つの条件です。それぞれの内容を簡単に説明します。

     

    EXW

    ・売主の指定した工場や倉庫で貨物を引き渡す
    ・引き渡したあとの費用やリスクは買主が負担

     

    DAP

    ・輸送費とリスクを売主が負担
    ・売主は、買主の指定した場所まで貨物を届ける
    ・関税や通関手続きは買主側が行う

     

    DDP

    ・売主がすべての費用とリスクを負担し、買主の指定した場所まで貨物を届ける
    ・買主は最終的な受け取りのみを担えばよく、手間やコストの不安を最小限に抑えられる

     

    海上輸送にのみ適用される条件

     

    海上輸送に関しては、日本では以下の3つがよく用いられます

     

    FOB

    ・売主が船に貨物を積み込むまでの費用やリスクを負担、その後は買主が負担
    ・両者の役割分担が明確で、海上輸送でよく使われる

     

    CFR

    ・売主が運賃を負担して到着港まで貨物を運ぶ
    ・リスクは船に積み込んだ時点で買主に移る

     

    CIF

    ・売主が運賃と保険料を負担して到着港まで貨物を運ぶ
    ・船に貨物を積み込んだ時点で、リスクは買主に移る

    失敗しないインコタームズとは?使用する際の3つの注意点

    費用やリスクへの責任を明確にできるメリットがある一方で、使用にあたってはいくつか注意点があります。ここでは、失敗しないインコタームズとは何かに焦点を絞り、使用時に注意したい3つのポイントを解説します。

     

    コストとリスクの分担を理解する

     

    インコタームズでは、輸送の段階ごとに売主と買主の責任範囲が設定されています。したがって、各用語の内容を正確に把握しておく必要があります。

     

    たとえば、売主がすべてを負担する「DDP」は、買主にとっては一見便利に見えますが、その分商品価格にコストが上乗せされる可能性があります。一方、自社が売主の場合は、条件によっては利益を圧迫するリスクも。

     

    コストとリスクのバランスを理解し、慎重に取引条件を決定しましょう。

     

    引渡場所やタイミングをはっきりさせておく

     

    貨物の引渡場所やタイミングが曖昧だと、不手際があった際の責任の所在がはっきりせず、トラブルが発生しやすくなります。

     

    たとえば引き渡し場所が「東京湾」とだけ記載されていたとします。この場合、港のどの位置なのか、どの倉庫なのかがはっきりせず、トラブルになりかねません。

     

    貨物の引渡場所までの運送費や保険料、さらに輸送途中の事故に対する責任範囲は、事前に契約書で具体的に定めておく必要があります。

     

    インコタームズのバージョンを明記する

     

    改定されるごとにルールや内容が変更されるため、売主と買主の間で認識のズレが発生しないよう、どのバージョンを用いるのか明記が必要です。

     

    バージョンの記載がないと、契約内容の相違や責任の所在が曖昧になり、トラブル発生の可能性が高まります。使用する年版は「2020」など具体的に契約書へ記載し、双方が同じルールに則って取引を行う必要があります。

     

    まとめ|インコタームズとは貿易の取引条件!基本を抑えてトラブル回避を

     

    国際貿易で必ず用いたいインコタームズとは、費用やリスクといった責任負担を明確にするための世界共通のルールです。大企業向けの制度と思われがちですが、取引先が海外企業である限り、中小企業でも使用すべき基本的な契約ツールです。

     

    インコタームズを使用すれば、必ず安心な取引ができるというわけではありません。ルールの使用にあたっては、それぞれの条件の正しい理解と買主と売主双方のメリットを最大限にする選択が求められます。さらに、予期せぬトラブルを回避するには、必要な情報の明記も重要です。

     

    トラブルのない取引は、両国間の信頼構築や今後の発展に大きく関わります。まずは基礎知識を身につけ、実践の場で活用していきましょう