LCLとは何?正しく理解して実務を最適化する中級者のための徹底ガイド
LCLを使い続けるべきか、それともFCLへ切り替えるべきか、実務経験を積むほどこの判断が難しく感じられる瞬間が増えてきます。
混載ならではのメリットとリスク、港湾費用や追加チャージの発生源、そして荷量変動によるコスト曲線の動き。こうした要素を正しく理解していないと、長期的な物流戦略が揺らいでしまうでしょう。
この記事ではLCLの仕組みを基礎から見直し、利益率を落とさずに最適な輸送判断ができる視点を丁寧に整理しました。現場での判断精度を、一段引き上げたい方に必見の内容となっています。
目次
LCLとは何か?基本構造と中級者が押さえるべき重要ポイント

LCLとは、Less than Container Loadの略で“1社でコンテナを満たせない荷物を複数荷主で混載する方式”のことです。費用を抑えやすい反面、仕組みを理解していないと追加費用や遅延が生じやすいというデメリットがあります。
ここでは中級者が実務で迷いやすい“混載特有のポイント”を整理しましょう。
LCLの仕組みとFCLとの違いを理解しよう
LCLは複数の荷主の貨物を1つのコンテナにまとめる方式です。
<LCLの特徴>
・少量から利用できる
・費用を抑えやすい
・他社貨物と混載される
・積み替え回数が増えリスク高め
一方、FCLはコンテナを丸ごと一社で使用する方式です。
<FCLの特徴>
・コンテナを専有できる
・破損・遅延が発生しにくい
・リードタイムが安定しやすい
・一定以上の荷量でコスト効率が高い
荷量が増えてきた中級者は、この違いを押さえることで判断がブレにくくなります。
参考:西濃運輸 「 LCL (Less Than Container Load)」
参考: Shippio Platform「FCLとLCLは何が違う?それぞれのメリット・デメリットや使い分けのポイントを解説 | Shippio Platform」
料金体系・CBM計算・追加費用の把握方法
LCLでは、貨物体積を基準にしたCBM(立方メートル)計算が料金の中心になります。基本運賃は「1CBMあたり」で設定され、最低請求量が1CBM前後に固定されているケースが一般的です。
ただ実務では、基本運賃だけで話が終わるわけではありません。
CFS費用や書類費、THC、ドレー、混載チャージなどの追加費用が積み上がり、結果的に想定より高額になるケースも少なくありません。
中級者が押さえておきたいのは、フォワーダーごとに費用構造の内訳が異なる点です。見積もり段階で「何が含まれ、何が別請求なのか」を細かく確認するだけで、利益のブレを大幅に抑えられるでしょう。
中級者でも見落としやすい混載のメリットとリスク要因
LCLの魅力は、小ロットでも柔軟に国際輸送を利用できる点です。特にテスト仕入れやSKU数が多い場面では、無駄なスペースを抱えずに済み、小規模ECでも扱いやすい輸送方式といえます。
<メリット>
・小ロットで利用しやすい
・在庫負担を軽減できる
・多品種の検証に向く
<リスク要因>
・積み替え増による破損リスク
・混載スケジュール起因の遅延
・港湾費用など追加費用の読みづらさ
中級者が陥りやすいのは、メリットの使いやすさだけに目が向き、荷量増加後もLCLを惰性で使い続けてしまうことです。事業の成長段階では、FCLとの総額比較を定期的に行い、輸送戦略が適切な状態かどうか見直していく視点を欠かさないようにしましょう。
LCLを利用する際に起こりやすい失敗とリスク回避・実務対策

LCLは利便性が高い反面、破損・遅延・追加費用などのトラブルが起きやすく、経験者でも見落とす場面があります。
この章では、現場で頻発する混載特有のリスクと、その回避策を実務ベースで整理しましょう。
破損・遅延リスクを下げる梱包と管理体制
LCLで最も多いトラブルが、積み替え工程で発生する破損と、混載スケジュールによる遅延です。梱包が弱い荷物ほど衝撃を受けやすく、他社貨物が上に積まれることで形崩れが起きるケースもあります。
実務で意識したいのは、外装強度を高めるだけでなく、内部の“空間つぶし”を徹底することです。緩衝材を適切に使い、箱内部の揺れを最小限に抑えるだけでも、破損率は大きく下がるでしょう。
現場で起こる混載トラブルの実例と防止策
LCLでは、想像以上に“他社貨物の影響”によるトラブルが多発します。たとえば、液体商品の漏れが他荷主の箱に付着して検品がストップしたり、重量物が隣に配置されて箱が凹んだりといった事例は珍しくありません。
また、仕分け工程の混雑によってCFS内で数日動かないまま放置され、結果的に遅延につながるケースもあります。
防止のポイントは、事前に商品特性を伝え、フォワーダーへ仕分け条件を明確に依頼すること、この二点に尽きるでしょう。
追加費用・港湾費用による利益圧迫を避けるポイント
LCLは基本運賃が安く見えても、港湾費用や混載特有のチャージが積み重なり、最終的な利益を削りやすい輸送形態です。
特にTHC、CFS手数料、書類費、デバン費用、国内配送費などはフォワーダーによって金額差が大きく、見積もり段階での確認不足が利益のブレを生みます。
実務で意識したいのは、単価だけでなく「何が込みで、何が別請求なのか」を必ず文書で確認することです。加えて、港湾の混雑期は費用が上がりやすいため、納期に余裕がある場合はスケジュールをずらす選択も検討できます。
なお、ドバイ(Jebel Ali港)は中東の主要ハブとして混載貨物の取扱量が多く、繁忙期にはCFS混雑や追加チャージが発生しやすい地域です。
特に「コンテナ不足サーチャージ(CSS)」や「中東向け混載チャージ」が季節変動を受けやすいため、見積段階で料金項目を細かく確認しておくと利益のブレを抑えやすくなります。
LCLを賢く使いこなすための最適判断と長期的な物流戦略

LCLを使い続けるかFCLへ切り替えるかは、荷量だけでなく、追加費用や納期、長期的な物流計画を総合的に見る必要があります。
この章では、中級者が判断に迷いやすいポイントを整理し、最適な選択ができる視点を示しましょう。
FCL切替を判断する荷量基準とコスト比較
LCLからFCLへ切り替える判断は、「どれくらい荷物が増えたら」という単純な話ではありません。実務で鍵になるのは、CBM換算の合計値と、港湾費用・CFS費用・混載チャージを含む“トータルコスト”の比較です。
一般的には10〜12CBMを超えるあたりからFCLの方が安定しやすいと言われますが、実際には貨物の形状や仕向地、フォワーダーの料金体系によって有利不利が変わります。
ここで中級者が押さえておきたいのは、「実務では“LCL総額がFCL総額の70〜80%を超えたら切替検討”という目安を持つ企業が多い」という点です。
単純なCBM比較ではなく、総額ベースで“あと少しでFCLと同等になる”ラインを把握しておくと、判断の精度が一気に高まります。
特に中東向け輸送の中心であるドバイ(Jebel Ali港)は、LCLの追加費用や港湾費用が他地域より高くなる傾向があります。
そのため同じ荷量であっても、LCL総額が早い段階でFCL総額の70〜80%に近づくケースが多く、地域特性を踏まえたコスト比較が欠かせません。
また、月次で荷量の推移を管理し、LCL利用がかえって割高になっていないかを定期的に検証することも重要です。
フォワーダー選定と交渉で効率化を高める方法
LCLを賢く運用するには、フォワーダー選びが想像以上に重要です。同じ区間・同じ荷量でも、CFS費用や混載チャージ、書類費が大きく異なるため、総額で3割近い差が出ることもあります。
まず押さえたいのは「基本運賃の安さ」ではなく、追加費用の内訳を透明化してくれる会社を選ぶことです。
見積書の項目が曖昧な企業ほど、最終請求でズレが生じやすい傾向があります。また、積み替え回数や取り扱い実績を確認し、混載に強いフォワーダーを選ぶと破損率の低下にもつながるでしょう。
中級者が長期安定を実現する物流改善と再投資戦略
LCLを使い続けるかFCLへ移行するかを判断するには、単発のコスト比較だけでなく、長期的な事業拡大を見据えた物流戦略が欠かせません。
荷量増加が見込まれる場合は、早めにFCLへシフトし、倉庫体制や在庫管理の仕組みにも再投資すると、総コストが安定しやすくなります。
また、混載で発生しやすい破損・遅延リスクを継続的にモニタリングすると、サプライチェーン全体の改善点が見えやすくなります。中級者が意識したいのは「物流は利益を削る費用ではなく、競争力を高める投資」であるという発想です。
まとめ|LCLとは何かを理解して輸送効率と利益率を同時に高めよう
LCLは小口輸送を柔軟に使える便利な方法ですが、混載特有の追加費用や破損リスクを正しく理解していないと、気づかないうちに利益を削り続けてしまいます。
今回整理した「荷量とコストの関係」「FCL切替の判断軸」「混載リスクの実務対策」を押さえておけば、日々の判断が驚くほどブレにくくなるでしょう。
物流は事業の土台です。仕組みを理解し、数字で判断できる体制を整えれば、長期的な利益率アップも現実的になります。
今日から少しずつ見直しを進めて、より強いサプライチェーンを築いていきましょう。
代表取締役 末継 佳大
監修者
株式会社NIPPON47
前職はプロカメラマンとして10年ほど勤務。その後、カメラマンとして独立。タイへの出張時に現タイ法人の代表である日本人と知り合い2019年に同社を創業。当時はタイSAGAWAの代理店として様々な荷物を扱うが、コロナ禍に古着の輸送に特化したサービスを展開し今に至る。現在は、タイ・パキスタン・ドバイの各法人/オフィスと連携を取り合い、日本に拠点をおきながら古着仕入れ・輸出入のサポートを行う。
