コンテナの荷崩れはなぜ起こる?リスクを最小限に抑えるためにできること
コンテナの荷崩れが起こると貨物のダメージに与えてしまう…そんなリスクを最小限に抑えるにはどうしたらいいの?
国際間の貿易ではさまざまなリスクがともないますよね。その中でも今回は、コンテナ輸送で起こりうるトラブルについてご紹介したいと思います。
コンテナの荷崩れが起こってしまうと、貨物に大きな損傷を与えてしまいます。
輸入する側にとっては、商品としての価値がなくなってしまうのでコストの損失になります。この場合責任の所在は、売り手と買い手の取引の条件、つまりインコタームズによって変わってきます。
リスクを最小限に抑えるためには、インコタームズについての知識を身に着けておきましょう。また、コンテナの荷崩れを防ぐにはバンニングのコツも押さえましょう。
目次
コンテナ船での荷崩れには2つのパターンがある
コンテナ輸送中の荷崩れには、コンテナそのものが崩れる、あるいはコンテナ内部の貨物が崩れるケースが考えられます。
船上でコンテナそのものが荷崩れする
本船に積み込んだコンテナそのものが荷崩れするケースをみてみましょう。輸送中であれば、海上に落下してしまう危険性もあります。この場合、貨物を回収することは難しいです。
とはいえ、世界海運評議会(WSC)によると、2019年にコンテナ船が輸送した約2億2600万個のうち、洋上で滅失したコンテナは、2017年〜2019年の3年間の平均で1年あたりたったの779個です。確率としては0.000003%ほどとなります。
コンテナの内部で荷崩れが起こる
コンテナ内の貨物が荷崩れする原因は、木材や角材などで固定するショワリングや、ワイヤーやロープなどで固定するラッシングがうまくできていないことが多いです。
コンテナに貨物を積み込むことをバンニングといいます。しっかり固定する以外にもバンニングするさいのポイントがあります。
・貨物の形状や重量にあわせてバランスよく積む
・重量のある貨物を高く積まない
・コンテナ自体に破損がないか確認する
コンテナ内の荷崩れは、貨物に直接的なダメージを与えるリスクが高いのでバンニング作業は重要です。
【参考:World-Shipping-Council「Containers Lost At Sea – 2020 Update」】
コンテナの荷崩れは誰が責任を負う?インコタームズについても
「コンテナの荷崩れが起こってしまった」「貨物がダメージを受けてしまった」このような場合、いったい誰が責任を取るのでしょうか。
輸送業者が責任を負うケースは多くない
輸送業者がコンテナの荷崩れに対して責任を負うのは、契約内容や運送人約款に定められた内容に該当する場合です。運送人約款とは、輸送業者と免責事項などを取り決めているものを言います。
じっさいには輸送業者が責任を負うケースは多くありません。多くの輸送業者は、コントロールが難しいコンテナの荷崩れや破損について免責する内容の運送人約款を定めているからです。
インコタームズは輸送における責任の範囲を決める
インコタームズとは、貿易取引における費用の負担と責任の範囲を定めた国際ルールです。ここでは、買い手(輸入する側)の「責任の範囲」に焦点をあててみてきましょう。
貨物の受け渡しがどこでおこなわれるかによって、責任の転換ポイントが異なります。
・EXW:
工場渡しといわれ、売り手(輸出側)の自社工場や倉庫での引き渡しがおこなわれます。このタイミングで買い手(輸入側)の責任に切り替わるため、もっとも買い手の負担が大きくなります。
・FCA、CPT、CIP:
輸出地において指定された運送人に引き渡しがおこなわれた時点で、買い手の責任にスイッチします。それぞれ輸送費や保険料の負担が異なります。
・DAP、DPU、DDP:
売り手(輸出側)が輸入地の指定された場所まで責任を負います。DAPは荷降ろしの責任が買い手にあるのに対して、DPUは売り手側に責任があります。また、DDPは輸入にかかる手続きや費用を含めリスクも負担するため、売り手側にとっては一番負担が大きくなります。
【参考:JETRO「インコタームズ2020」】
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まとめ
コンテナの荷崩れが起こってしまうと、貨物の紛失や損傷のリスクが高まります。損失を防ぐためにはコンテナ内にバランスよく貨物を積み込み、しっかり固定することが大切です。このバンニング作業には丁寧さが必要ですから、信頼できる業者に依頼しましょう。
また、取引のさいにはインコタームズについても知っておかなければいけません。輸入する貨物の引き渡し場所が責任の転換ポイントになります。危険リスクと費用負担をあわせて取引条件を検討しましょう。