企業の廃棄衣類を減らすには?回収・再流通の仕組みとコスト管理を解説
この記事の要約
- 国内の古着、国内の衣類の廃棄は、処分費だけでなく保管や輸送にもコストがかかるため、企業全体で見直すべき経営課題です。
- 日本国内で回収した衣類は状態や需要を確認し、再販売・リユース・リサイクル・適正処分へ振り分けることがポイント。
- 回収後の出口を複数確保し、再利用率や在庫日数を管理することで、継続可能な資源循環につながります。
アパレル企業では、売れ残り、返品、サンプル品、使用済みユニフォームなど、さまざまな理由で衣類が廃棄されています。処分費だけを見れば小さな負担に思えても、保管、仕分け、輸送、作業人員まで含めると、企業にとって無視できないコストになります。
一方、衣類の状態や需要に応じて再販売、リユース、リサイクルへ振り分ければ、廃棄量を減らしながら、衣類に残された価値を回収できる可能性があります。今回は、アパレル企業や衣類を取り扱う事業者に向けて、廃棄衣類の現状、回収・再流通の仕組みづくりを解説します。
目次
衣類の廃棄削減が企業課題になっている理由
衣類の廃棄は、環境部門だけが取り組むテーマではありません。在庫管理や物流コスト、情報開示、企業ブランドにも関わる経営課題として捉える必要があります。
国内では手放された衣類の半数以上が処分されている
環境省の2025年公表資料によると、生活者が手放した衣類のうち、海外輸出を含めてリユースされた割合は35%、リサイクルされた割合は7%でした。一方、焼却などで処分された衣類は58%に上ります。
家庭で保有されている衣類の45%が使われずにしまい込まれているという推計もあり、着用できる衣類が再流通せず、処分されている状況がうかがえます。
これらは家庭から手放される衣類のデータですが、企業にとっても無関係ではありません。販売後の衣類を回収する仕組みや、売れ残り・返品を再流通させる出口が不足していることは、アパレル産業全体の課題です。
海外では生産者の責任が広がっている
EUでは、繊維製品の製造事業者などに対し、回収、分別、再利用に向けた準備、リサイクル、輸送などの費用負担を求める拡大生産者責任(EPR)の導入が進んでいます。
製品を作って販売するだけでなく、使用後の回収や処理まで企業が関与する考え方です。対象にはEU域外からオンラインで商品を販売する事業者も含まれるため、海外展開する日本企業にも影響する可能性があります。
国内でも、経済産業省が「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン」を策定しています。販売製品や製造工程で発生する廃棄量を把握し、削減への取り組みを開示することが企業に期待されています。
参考:日本貿易振興機構「EU、繊維製品の製造事業者に拡大生産者責任を課す廃棄物枠組み指令改正案に合意」
廃棄には処分費以外のコストも発生する
衣類の廃棄コストには、処理費だけでなく、保管、梱包、輸送、仕分け、在庫管理などの費用が含まれます。売れない在庫を長期間保管すれば、倉庫スペースを圧迫し、売れる商品の保管機会を失うことにもなります。
廃棄を先送りすると、在庫が混在し、再販売できる衣類まで価値を失いかねません。処分費の安さだけで判断せず、保管期間や作業工数、再販売による回収額まで含めた総コストで比較することが重要でしょう。
廃棄衣類を減らすための判断フローとは?
すべての衣類を同じ方法で処理する必要はありません。衣類の状態、安全性、販売可能性などを確認し、再販売から適正処分までの優先順位を決めます。
発生理由と衣類の状態を把握する
【状態把握までの流れ】
①どこで、なぜ衣類が滞留しているのかを把握
②売れ残り、返品、検品不良、サンプル品、ユニフォームなどを確認。(発生理由によって適切な対応は異なる。)
③汚れ、におい、カビ、破れ、付属品の欠損などの確認。(ブランド、カテゴリー、サイズ、素材、シーズンなどの情報も整理する。)
在庫全体を廃棄対象として一括処理するのではなく、再利用できるものを分けることが廃棄削減の第一歩です。
再販売・リユース・リサイクルの順に検討する
着用に問題がなく、販売需要が見込める衣類は、アウトレット販売、二次流通、法人への一括販売なども検討できるでしょう。軽微なほつれや汚れがある場合も、補修やクリーニングによって商品価値を戻せる可能性があります。
国内での販売が難しい衣類でも、気候、サイズ、デザインなどが異なる海外市場では需要が見込める場合があります。一方、着用が難しい衣類については、ウエスや反毛など、素材として再利用できるかの確認へ。
安全性や衛生面に問題があり、再利用・再資源化が難しい衣類は適正処分へ回します。この順番を社内ルールとして定めることで、担当者による判断のばらつきを抑えることが可能です。
事業系廃棄物として適切な処理方法を確認する
企業から排出される衣類は、家庭から出る衣類と同じ方法で処理できるとは限りません。衣類の素材、排出した事業者の業種、自治体のルールなどによって、廃棄物の区分や委託先が異なる場合があります。
廃棄する場合は、自治体や許可を持つ処理事業者へ確認し、適切な方法を選ぶ必要があります。無料回収という理由だけで委託先を決めず、回収後の処理方法まで確認することが大切です。
回収と再流通を継続できる仕組みにする方法|成果の測定も重要
衣類を一度回収しただけでは、廃棄問題の解決にはなりません。回収後の在庫やコストを新たな負担にしないため、出口と評価方法を事前に設計します。
回収後の出口を複数用意する
回収した衣類は、状態や需要によって適した行き先が異なります。国内での再販売、海外での再流通、補修、素材リサイクル、適正処分など、複数の出口を用意することが重要です。
一つの販路だけに依存すると、需要の変化によって在庫が滞留する可能性があります。回収前に受け入れ基準や販売先を確認し、衣類の状態ごとに振り分けられる体制を整えます。
海外へ流通させる場合は、輸出した時点をゴールにしないことも重要です。現地での需要や販売先を確認し、輸出先で不適切に廃棄されるリスクを抑える必要があります。

回収量ではなく再利用の成果を管理する
回収量だけを成果指標にすると、回収後の衣類が活用されているか判断できません。
【回収に関する測定項目】
・回収重量
・再販売率
・リユース率
・リサイクル率
・廃棄率
・在庫日数
その他にも、売れ残りや返品が発生した理由も蓄積すれば、発注量、サイズ構成、検品体制、販売期間などの改善につなげられます。
外部事業者はコストと透明性で選ぶ
回収・再流通を外部へ委託する場合は、引き取り価格だけで判断しないことが重要です。受け入れ可能な衣類、最低数量、選別方法、保管体制、輸送方法、最終的な販売先などを確認します。
回収した重量、再利用された割合、仕向け地などを報告できる事業者であれば、社内での成果確認や情報開示にも活用できるでしょう。
まとめ|廃棄衣類を再流通できる資産へ変える
企業が衣類の廃棄を減らすには、処分方法だけでなく、衣類が発生する原因と回収後の出口を見直す必要があります。衣類の状態を確認し、再販売、リユース、リサイクル、適正処分へ振り分けることで、廃棄量と管理コストの削減を目指しましょう。さらに、回収量や再利用率を記録すれば、商品企画や発注、在庫管理の改善にもつなげられます。
NIPPON47では、国内外の拠点と古着流通・物流のノウハウを活かし、衣類の状態や数量に応じた再流通をサポートしております。売れ残りや回収衣類の扱いに課題を抱えている企業は、廃棄する前に再利用できる可能性を整理することが重要です。
代表取締役 末継 佳大
監修者
株式会社NIPPON47
前職はプロカメラマンとして10年ほど勤務。その後、カメラマンとして独立。タイへの出張時に現タイ法人の代表である日本人と知り合い2019年に同社を創業。当時はタイSAGAWAの代理店として様々な荷物を扱うが、コロナ禍に古着の輸送に特化したサービスを展開し今に至る。現在は、タイ・パキスタン・ドバイの各法人/オフィスと連携を取り合い、日本に拠点をおきながら古着仕入れ・輸出入のサポートを行う。
